美容鍼灸は、中国伝統医学の鍼灸の治療を、美容として応用した技術です。
一般的には「美容鍼」とも呼ばれ直接顔にハリを施していきますが、西洋医学でいう「美容整形」の類です。

私は、鍼灸を志すきっかけとなった自身の不妊症と会社の同僚たちの女性疾患をもとに、女性疾患で悩んでいる女性のための「なにか」を探していたときに鍼灸とアーユルヴェーダに出会いました。

普通はどちらか一方を選ぶのかも知れませんが、私はそれが選べませんでした。
いえ、両方大切だと思いました。

鍼灸での学生時代も流行り始めの「美容鍼」を誰もが飛びついて楽しんでいましたが、私は「治療が大切なんだ」と自分で確信して、時代に逆らいながら女性疾患のどんな症状にも対応できる治療家を目指していました。

独立して、あるとき40代の女性から「更年期の症状だと思いますが、ハリは受けたことがなく身体は考えてしまいますが、顔ハリを体験してみたいです」というようなメール内容でご予約を受けました。
当日相談もしたいということでしたので、早速「顔ハリだけのコースはないんですが、仮にあっても身体の状態が良くないときにされても、顔ハリは2~3日くらいしか持続しないかも知れません。」と告げました。

その女性は、「気持ちが落ち込むことが多いから、流行りの美容鍼をして気分を変えようと思ったんです。」といっしゃいました。

私はそれを聞いて「はっ」としました。

自分は治療の方が美容より大切なんたという気持ちが強くて、治療への「こだわり」もあり「美容鍼なんて邪道」とさえ思っていました。
でも、もしかしたらそれは自分の「こだわり」ではなく「固執」だったのかも知れれないと考えさせられました。

例えその場だけの気休めでも、その女性にとっては気分が上がること。

私は体を診ることに一生懸命になり過ぎて、患者さんの心を置き去りにしてしまったのかも知れないと、だた申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

美容うんぬんより、その施術で心が救われる方がいるのなら「美容鍼」も真剣に取り組むべきだと反省しました。
また、私は運がよいのか、美容鍼が流行る前に中国でたまたま「美容鍼」を学んでいました。

今は、美容鍼の顔ハリもオプションで楽しんで受けていただいています。

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【初心忘れすべからず】ですね。

これからも治療にこだわりを持って施術していきたいと思いますが、固執はしないように心がけたいものです。